変わってしまった日常

2020年、コロナ禍が始まった頃。
社会の空気は、明らかに変わっていた。
学校は休校になり、外出自粛が呼びかけられ、
それまで当たり前だった日常が、少しずつ遠ざかっていく。
街を歩いていても、人は少なく、どこか静かすぎる。
その静けさが、かえって不安を強くしていた。
「密を避ける」と言われ、公園の遊具も閉鎖。
私だけでなく、家族もじわじわとストレスが溜まっていった。
外に出ることすら、どこか後ろめたい。
何をするにも気を遣う日々。
そもそもマスクが苦手な私にとって、この時期はなかなかきつかった。
確実に、心は削られていった。
準備は、ずっと前から
ただ、ロードバイクを買った理由は、コロナだけではない。
むしろ、準備はもっと前から始まっていた。
一年間、コツコツと貯金をしていた。
いつかは欲しいと思っていたロードバイクのために、
少しずつ、現実的な目標として積み上げていた。
そして、ようやく初期費用が貯まった。
「環島」という現実的な目標
もう一つ、大きな変化があった。
第10話で触れた、台湾一周――環島の話だ。
それまでは、どこか遠い世界の話だった。
「いつかできたらいいな」くらいの、ぼんやりした憧れ。
でも、そのとき初めて、少し現実味を帯びた。
もし本当にやるなら。
それに見合った自転車が必要になる。
そう思ったとき、ロードバイクはただの憧れではなく、
「選ぶべきもの」へと変わっていった。
それでも、背中を押したもの
もちろん、コロナ禍の空気も無関係ではない。
溜まっていくストレス。
思うように動けない日常。
だからこそ、強く思った。
外で、思いっきり走りたい。
風を感じたい。
体を動かしたい。
その中で、自転車はちょうどよかった。
屋外で、一人でもできる。
今の状況でも、無理なく続けられる。
制限された日常の中で、
数少ない「自由」に思えた。
決断の瞬間
気がつけば、条件はすべて揃っていた。
貯金。
目標。
タイミング。
そして、気持ち。
本当に自分に乗れるのか。
続くのか。
そんな不安がなかったわけではない。
それでも、気持ちは前に進んでいた。
色々調べていくうちに、ジャイアント社製の
「コンテンドAR3」というロードバイクにたどり着いた。
(正確にはグラベルロードらしい)
「これだな」
そう思うまでに、それほど時間はかからなかった。
※自転車購入までの過程は、別のコラムで詳しく書く予定です。
まだ知らなかったこと
このときはまだ、ただワクワクしていた。
これから始まる新しい世界に、
期待しかなかった。
それが、
あんな気持ちにつながるとは――
そのときの私は、まだ知らなかった。
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