第13話 人鉄一体|ロードバイク1年目の目標

ロードバイクで江の島へ向かって走る男性と「人鉄一体」と書かれた第13話アイキャッチ画像

人鉄一体|ロードバイク1年目の目標

自転車と一体になる感覚。

自分の中で、それを
「人鉄一体」と呼ぶことにした。


ヨロヨロの帰宅

なんとか、家にたどり着いた。

ヨロヨロしながら。
ほとんど余裕もなく。

距離にしたら、大したことはない。
でも体感は――やけに長かった。


玄関の前で、自転車を降りる。

そのまま、しばらく動けなかった。

疲れはしたが、待ちに待った納車。

新車のロードバイクを見て、
やっぱり嬉しかった。


「一年やる」と決めた

想像より乗りこなすのが難しく、戸惑った。

「……でも」

ふと、思った。

「まあ、最初はこんなもんか」

昔から、わりと楽観的な性格だ。

落ち込むのも早いけど、
立ち直るのも、わりと早い。

「よし」
「とりあえず一年やってみよう」

なぜ“一年”なのかはわからない。

でも、区切りがほしかった。

すぐに上手くなる気はしない。

でも一年続ければ、
何かは変わる気がした。


人鉄一体という目標

そして、もう一つ。

自分の中で、勝手に言葉を作った。

「人鉄一体」

台湾では、自転車のことを「鉄馬」ともいう。

だから――

頑張って乗りこなして、
「人鉄一体」を目指そうと決めた。

人と鉄馬が、一体になるくらい乗れたらいい。

まだ遠い。

今の自分には、全然届かない。

でも――
目指すには、ちょうどいい気がした。


 1年後の目標

もう一つ、具体的な目標も決めた。

「一年後に、ビンディングペダルを使う」

正直、今は無理だ。

怖い。

止まれなかったらどうするのか。
外せなかったらどうするのか。

立ちゴケする未来しか、見えない。

でも、一年後ならどうだろう。

ちゃんと乗れていたら。
ちゃんと慣れていたら。

「人鉄一体」を体現できていた、そのときなら――

「いけるかもしれない」

そう考えた。


 とにかく乗る

目標が決まると、やることはシンプルだった。

乗る。
とにかく、乗る。

まずは近所から。

“乗る時間”を増やすことだけを考えた。

少しずつ、距離を伸ばす。

慣れてきたら、いつもの道へ。


江の島までの道での爽快感

そして――江の島。

何度も行っている道。

通勤用のクロスバイクでも、走っていた場所。

でも。

ロードバイクで走ると、まるで違った。

速い。
軽い。

とても気分がいい。

風を切る音が、
今までよりも少しだけ近く感じた。

まだ、お世辞にも上手い乗り方ではないと思う。

それでも――

とても楽しい気分になった。

同じ道のはずなのに、
別の場所を走っているみたいだった。


偶然の展開

納車してしばらく経った、ある日。

SNSで、老朋友(幼馴染)が
ロードバイクを買ったことを知った。

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