第8話 大山ヒルクライム

たいチャリ第8話 大山ヒルクライム 初めての挑戦
父の一言から始まった、大山ヒルクライム挑戦

大山ヒルクライム

6月の初夏。
少し湿った空気の中、私は通勤用のオフィスプレススポーツで大山を目指していた。

きっかけは、父の一言だった。

ある日、父が何気なく言った。

「この間、大山まで自転車で行ったよ」

しかも、父の自転車は特別なものではない。
普通の3段ギアのママチャリだった。

それを聞いたとき、私は単純に思った。

「70過ぎの父が行けたなら、自分も行けるかもしれない」

そんな軽い気持ちで、自宅から大山へ向かった。

国道246号線を西へ

厚木方面から、国道246号線をひたすら西へ進む。

「大山」の標識を見つけて曲がるだけなので、初めてでも迷うことはなかった。

麓のコンビニで、アイスコーヒーとパンを買って少し休憩する。

ここまでは、普通のサイクリングだった。

大山までの坂も、最初は思っていたほどきつくない。

途中で旧道と新道に分かれていたが、道の広そうな新道を選んだ。

「なんだ、意外と行けるかもしれない」

のどかな景色を眺めながら、のんびりペダルを回していた。


坂は少しずつ顔つきを変える

少しずつ坂がきつくなる ただ、「丹沢大山国定公園」のゲートを過ぎたあたりから、少しずつ様子が変わってきた。

斜度が今までより明らかに急になった。

気がつくと呼吸が荒くなり、太ももも重くなる。
前を見ても、まだ坂が続いていた。

さっきまでの「ちょっと長い坂」とは明らかに違う。

しかも乗っているのは、通勤用のクロスバイクだ。
ロードバイクのように軽いわけではない。

ペダルを踏んでも、だんだん前に進まなくなる。

「大山って、こんなにきついのか」

その頃には、景色を見る余裕もほとんどなくなっていた。


ついに足をつく

途中で足をつきながら

途中、何度か自転車を降りた。

正直、かなり苦しかった。

押して歩きながら、

「ロードバイクの人はすごいな」

と素直に思った。

軽そうに坂を登っていく姿を見ると、やはり自転車の違いも感じる。

ただ、不思議と「やめよう」とは思わなかった。

せっかくここまで来たのだから、頑張って上までは行ってみたかった。


それでも上へ

そして、なんとか大山の入口までたどり着いた。

到着した頃には汗だくで、かなり疲れていた。

それでも、不思議と嫌な気分ではなかった。

「ちゃんと自分の力で、ここまで来たんだな」

そんな小さな達成感があった。

速く走れたわけでもない。
綺麗に登れたわけでもない。

それでも、自分には十分だった。


コマ参道を歩く

コマ参道を歩く

コマ参道入口の駐車場の脇に自転車を停め、少し歩いてみる。

参道には土産物屋や食事処が並び、観光地らしい空気があった。

ケーブルカー駅の近くまで歩き、写真を撮ってしばらく休憩する。

大山は豆腐が有名な観光地だ。

せっかくだから食べてもよかったのだが、その日は疲れの方が強く、そのまま帰ることにした。

帰り道は、来た道を一気に下る。

登りでは長く感じた坂も、下りではあっという間で爽快だった。


総括

登っている最中は、

「もう二度と来ない」

と本気で思っていた。

でも時間が経つと、不思議とまた行きたくなる。

自転車は、そういうところがある。

そして実際に登ってみて、父が普通のママチャリで大山まで走ったという話の凄さを、少し実感した。

あれは、思っていた以上に大変な坂だった。

◎データ
走行距離:約45km

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